ホームページを作ってもらったあと、毎月請求が届く。金額は大きくないけれど、何に対して払っているのかがよく分からない。そもそも払い続ける必要があるのだろうか。
こう感じている方は少なくありません。月額費用は制作費と違って目に見える成果物が出てこないため、納得しにくいのは自然なことです。
この記事では、月額費用の中身を分解します。読み終えたときに「自分が払っている月額に、何が含まれていれば妥当なのか」を自分で判断できる状態を目指します。
月額費用は、大きく3つに分かれる
呼び方は会社によって違いますが、毎月かかるお金はおおむね次の3つに分類できます。
- 実費 — サーバー代、ドメイン代、SSL証明書など、止めるとサイトが表示されなくなるもの
- 維持のための作業 — システムの更新、バックアップ、表示や動作の確認
- 内容を変えるための作業 — 文章や写真の差し替え、ページの追加
このうち1は誰が運用しても必ずかかります。2は「何も起きていない月」ほど成果が見えにくい部分です。3だけが、依頼した分だけ目に見える形で残ります。
月額の請求書を見て納得できないときは、たいてい2の説明が省かれています。 順に見ていきます。
サーバー・ドメイン・SSLという「止められない実費」
サーバーは、ホームページのデータを置いておく場所です。ここを借り続けている限り、サイトは世界中から見られます。契約を止めれば、その時点で表示されなくなります。
ドメインは、example.com のようなインターネット上の住所です。こちらは1年単位の契約が一般的で、更新を忘れると同じ住所が他人に取られてしまうことがあります。名刺やチラシに印刷したアドレスが使えなくなるという意味で、影響は大きいです。
SSL証明書は、サイトのアドレスが https:// で始まるようにするための仕組みです。入力された情報が途中で盗み見られないようにする役割があり、これがないとブラウザに警告が出て、訪問者が不安を感じて離れてしまいます。
この3つは、金額の大小はあっても払わない選択肢がない部分です。月額費用の内訳を聞くときは、まずここが含まれているのか、それとも別途自分で契約しているのかを確認してください。
「何も起きていない月」に何をしているのか
いちばん理解されにくいのがこの部分です。具体的には、次のような作業が含まれます。
システムやライブラリの更新
サイトを動かしている裏側の仕組み(CMSやプログラムの部品)には、定期的に更新が配られます。多くは不具合の修正や、セキュリティ上の弱点をふさぐための更新です。
放置すると、その弱点を狙われて、サイトの内容を書き換えられたり、見に来た人に不審なページを表示させられたりすることがあります。被害に遭ってから直すほうが、はるかに時間もお金もかかります。火災保険に近い性質の費用だと考えると分かりやすいかもしれません。
バックアップ
サイトのデータを定期的に控えておく作業です。更新の失敗、操作ミス、不正な書き換え。何かあったときに元の状態に戻せるかどうかは、控えがあるかどうかで決まります。
確認したいのは「取っているか」だけでなく、どのくらい前まで戻せるか、そして戻す作業も月額に含まれるのかです。
表示や動作の確認
ブラウザやスマートフォンのOSは更新され続けています。何も触っていないのに表示が崩れる、フォームが送信できなくなる、といったことは起こり得ます。定期的に開いて確認しておくことで、問い合わせが途絶えていたことに半年後に気づく、という事態を防げます。
障害時の対応
サーバーが落ちた、サイトが表示されない、フォームからメールが届かない。こうしたときに誰に連絡すれば動いてくれるのかが決まっていること自体が、月額費用の一部です。
ここは契約によって差が大きいところです。連絡手段と、どれくらいで反応があるのかを確認しておいてください。
Clematisの場合は、メールでご連絡いただく形にしています。24時間の当番を置いているわけではありませんが、気づいた時点でその日のうちに手をつけます。時間を区切った対応の保証が必要な規模であれば、そこまで含んだ契約を用意している会社を選ぶほうが合っています。
月額ゼロにすると、何が起きるのか
「月額を払わない」という選択も、条件次第では成り立ちます。ただし、なくなるのは費用だけで、作業そのものは消えません。誰かがやるか、やらないままになるかのどちらかです。
やらないままにした場合、すぐには何も起きません。問題が表に出るのは、たいてい1年以上たってからです。
- 更新が止まった仕組みの弱点を突かれ、サイトが書き換えられる
- 証明書やドメインの期限切れで、ある日突然表示されなくなる
- ブラウザの更新で表示が崩れたまま放置される
- フォームが動かなくなり、問い合わせが来ていないことに気づかない
- 情報が古いまま残り、閲覧者に「営業しているのか分からない」と思われる
最後の1つは費用の話ではなく、サイトを持っている意味そのものが薄れていくという話です。公開後に何をしていくべきかはホームページを公開した後にやることにまとめています。
自分で運用する場合に必要になること
外注せず自社で運用するのは、十分に現実的な選択肢です。そのときに必要になるものを挙げます。
- サーバーとドメインの契約を自社名義で持ち、更新期限を管理する人を決める
- CMSやプラグインの更新を、月に一度でも確認して適用する
- バックアップの取得先と、戻す手順を確認しておく
- 表示崩れやフォームの不具合に気づける程度に、定期的に自分で開く
- 何か起きたときに相談できる相手を、あらかじめ見つけておく
ポイントは技術力よりも担当者を決めることです。「誰かがやるだろう」の状態がいちばん危ういので、社内で担当を置けるなら自社運用は成り立ちますし、置けないなら外部に月額を払うほうが結果的に安く済みます。
なお、契約の形によっては自社運用に切り替えたくてもドメインやデータを引き取れないことがあります。この点は制作会社を決める段階の確認事項でもあるので、ホームページ制作会社の選び方|見積りを比べるときのチェック項目もあわせてご覧ください。
Clematisの場合、公開後の運用・保守は月額1万円〜でご案内しており、含まれる作業の範囲は料金ページとサービス内容のページに記載しています。制作費と合わせた考え方はホームページ制作の費用相場でも触れています。
まとめ:金額ではなく「範囲」を聞けば判断できる
月額費用が高いか安いかは、金額だけを見ても分かりません。判断できるのは、その金額に何が含まれているかが分かったときだけです。
請求元に聞くとしたら、次の4つで十分です。
- サーバー・ドメイン・SSLの費用は、この月額に含まれるか
- システムの更新とバックアップは、誰がどの頻度で行っているか
- 文章や写真の差し替えは、月に何回まで含まれるか
- サイトが表示されなくなったとき、どこに連絡すればよいか
この4つに具体的な答えが返ってくるなら、その月額はおそらく妥当です。答えが曖昧なら、金額の問題ではなく範囲が決まっていないことが問題なので、そこを決め直すところから始めるのがおすすめです。
